手持ちのデジタルカメラ(ムービー・ハンディカムタイプ)から TCL D857 の紹介です。
(流通が多い割に未だにレビュー情報の乏しい製品のようなので・・・)
私が購入したのは 2016年頃で、当時は日本語によるレビュー情報はほぼ皆無(2018年現在もさほど増えていませんが・・・)で、価格.com や Amazon.co.jpの購買者レビュー、あるいは YouTubeへのサンプル映像のアップロードなども全くない未知の製品でした。TCL社というのは日本国内では知名度が低いですが中国の新興・大手の家電メーカーで、世界的には格安デジタルテレビを中心にデジタル・モバイル分野の製品で結構なシェアをもっているらしいです。ウェアラブルカメラに関しても
SVC200 という好評な製品を発売しています。そんなメーカーの製品なのでトイデジの価格帯(実売価格 一万円未満)ではあるけどそんなに悪いものでもないんじゃないかと興味を持ちました。
さて、実際にいじってみて本機の特徴や長所・短所など述べていくことにします。
説明書を日本語PDF化したもの は公式に公開されていますので基本的なことはそちらを参照していただくとして、その説明書に記載されていないような内容や実際に使ってみてわかることを中心にレビューしていきます。
■ 本体はコンパクト
本体サイズ / 32mm(レンズ部を正面とした幅)x 110mm(奥行き・長さ)x 52mm(高さ)
・・・今時のハンディカムっぽく、本体サイズはだいぶコンパクトになっており、また相応に軽量(160g)です。多くの旧来品は保持用に右手を通すグリップのベルトを備えているのが定番ですがそういうものはなくストラップのみ、しっかり握っていないと落としてしまいかねません。
YASHICA ADV-1025HD(先代のムービーカメラ。旧来品ハンディカムとして一般的なサイズ)との大きさ対比。全体の厚み、体積がだいぶ小型化している。
■ 映像
映像コーデックは H.264ですが 採用CMOSセンサー(公称500万画素)の性能がよろしくないようで解像度の割にあまりよい画質とは言えません。F値 3.2 のカメラなので普通に撮ると暗いところが相応に弱く、屋内撮影などはカラーノイズがざわつき いかにもトイデジらしい画質となります。・・・基本、明るい屋外で使いましょう。
ビデオの撮影モードですが、どうも撮れた映像の動きのキレがイマイチよくないなと思ったら実際のフレームレートを調べるとなぜかどのモードも公称より低いレートで記録されており、30fpsのモードは 25fps、60fpsのモードは 50fpsという実仕様でした。テレビ出力設定(NTSC / PAL)の切り替えによってフレームレートを変えていたりするのかな?と思いましたがそういうわけでもありません。・・・細かいことを言うような部類の製品ではないと思いますがフレームレートについては仕様詐称です。60fps → 50fpsについてはほぼ差はわからないレベルですが、30fps → 25fpsは体感でも映像のもっさりが感じられる場合があります。
TCL D857 のビデオモード仕様
ビデオモード(公称) |
実際のフレームレート |
実測ビットレート値 |
1920x1080 - 30fps |
25 fps |
約 14 Mbps |
1280x720 - 60fps |
50 fps |
約 12 Mbps |
1280x720 - 30fps |
25 fps |
約 8 Mbps |
固定焦点のカメラであること、マクロがないであろうことは事前に見てとれましたが、気になるのは有効な撮影距離。どのくらい離れればピンボケしない撮像距離となるのか? これはだいたい最低で 50cmといったところでした。これくらいから焦点ボケが引け始めます。そのあたり仕様に明記がないですが、1m以上離れて撮影することを前提にしたタイプのカメラでしょうかね。至近距離だと当然ですがボケボケですので、手元の被写体(たとえばペットや小物、料理など)を撮りたいといった用途にはそのままでは向きません。
適当な撮影サンプル (1920x1080 30fps / EIS-on Backlight-off)
快晴下の街頭、手持ちにて適当に周囲を見回すスナップ撮影サンプルです。
手振れ補正はオンになっていますがあまりそれらしい効果は見られません。
なお自転車ハンドルバーへ設置してのドライブレコーダー的撮影も別に試してみましたが映像はだいぶ小刻みに揺れて手振れ補正の効果はほぼ感じられないレベルでした。
■ 音声
内蔵マイク穴は正面(レンズ直下)に一点配置され、録音は AAC形式、モノラルで 48KHzのサンプルレート、ビットレートは 64Kbpsでした。モノラルですがオーディオフォーマットの記録品質は良好なのでトイデジとしては比較的はっきりしたまともな音質で録音されます。
・・・説明書には音声について「シグナルトラック」という意味不明な単語が記載されていますが おそらくこれは「シングルトラック(=モノラル音声)」と言いたかったのでしょう。
■ デジタルズーム20倍
・・・デジタルズームというものがどういうものか理解されている方なら誰しも「20倍とか要るかなぁ?」と疑問に感じることでしょう。デジタルズームならば申し訳程度にせいぜい4倍程度もあればいい筈です。ただ、この 20倍という馬鹿げた倍率ゆえにかえって何かあるのではないかと、・・・つまり、光学ズームではないにしても、いわゆる「アドバンスズーム、アドバンストズーム」などと呼ばれるような別機能も実は内包しておりそれを併用しての20倍なのではないかと期待してみたりすることにしました。
・・・そして実際に試してみたところ・・・ 見事に、ただのデジタルズームでした。10倍でも実用にはほど遠く、20倍で捉えた映像は正視に耐えない粗雑な映像となります。
なぜか設定ではこのデジタルズームに関して「20倍」「10倍」「オフ」の設定が可能です。誤操作を排除する意味で「オフ」設定できるのはともかく、倍率上限を10倍と20倍で切り替える意味がよくわかりません。ズーム操作は倍率範囲内で無断階に調整可能ですが、実用的なのは例によってせいぜい 2~3倍程度までで、10倍、20倍はおろか 4倍程度でもかなりきつい画質低下を余儀なくされます。
デジタルズーム参考サンプル
ほどよい距離に猫が現れたので撮ってみたサンプルビデオです。このサンプルはデジタルズーム最大時に「10倍」で撮影しています。(10倍以上のズーム範囲はまず使うことはないためズーム倍率上限は10倍で設定しているため)
・・・10倍でこれですので、20倍ともなるといかに粗い映像となるかは言うまでもありません。
次回は設定欄の機能詳細などについて解説していく予定です。