私が WiMiUS Q1 とほぼ同時期に続けて購入したのが WiMiUS S2 である。
低価格の「Q1」が思ったより良い物だったのでなんとなくもう一つ欲しくなって予備機という名目で買ってみた。「WiMiUS L1」やキューブ形状のミニカメラなども興味あったがアタッチメント類の共用・流用を考えて同形状・同サイズのものから画質が良くやや珍しいモデルということでこれを選定。
■ WiMiUS S2 とはどんな機種か?
WiMiUSブランドで フルHD仕様のアクションカメラ。2015年後半期頃の発売。
解像度とフレームレートの組み合わせで選べる動画撮影モートは下記の通り
WiMiUS S2 の撮影解像モード
(解像度 / フレームレート / ビットレート)※ ビットレート値は概算
1920x1440 |
30fps |
16Mbps |
1920x1080 |
60fps |
24Mbps |
1920x1080 |
30fps |
16~18Mbps |
1280x720 |
120fps |
30Mbps |
1280x720 |
60fps |
16Mbps |
・・・フルHD級だけで3モードと充実している。「1920x1440」は「1440x1080」などの誤りではなく、横解像1920ピクセルでの4:3アスペクト映像が撮れるモードでやや変則な存在の高解像モードである。1920x1080/60fpsモードについては画質面で妙な「Q1」と違い、ネイティヴ撮像らしく解像感・精細感はしっかり出る画質だが、ただ撮影対象によってはビットレート不足が発生し易くブロックノイズがざわつくのでここもやはり 30fpsとの使い分けが大事。
ビットレート設定はこうして各モード割り出して並べてみるとバランス的に疑問を感じる箇所もあるが「Q1」でもおかしな配分が見受けられたのであまり気にしないことに。
また、120fpsに関してはサンプル撮影してみたもののさほど滑らかな感じはなく60fpsより残像を感じるほどだった。これは再生するソフトによるのかも知れないし、きちんと高フレームレート撮影、スローモーション再生にふさわしい撮影対象があればまた違うのかも知れないが、個人的には不要なモードに仕分けすることに。
画質を調整する設定項目も充実している(表示言語は日本語化可能)
・ホワイトバランス・・・ 「自動/晴天/曇天/白熱球/蛍光灯」 基本ひと通り。
・露光 (EV) ・・・ 範囲 +2.0 ~ -2.0、0.3刻みで調整。これも基本ひと通り。
・イメージスタビライザー ・・・ 電子式の手ブレ補正機能だろうか? ちょっとした検証では効果の度合いはよくわからなかった。
(後日追記:自転車での車載用途ゆえ小刻みな振動が多いためこれは効いているのかいないのかわかりにくい。この感想はやむなしか)
・ビデオ品質 ・・・ 画質レベル。三段階選べてレベルを落とすとある程度はっきりビットレートが落ちる(=画質が落ちるのと引き換えにファイルサイズが縮む)。しかしデータ量をよほど節減したいという理由がない限りは最高設定「高品質」に固定しておくべきだろう。最高設定でも動きの激しい映像ではビットレート不足が起き易い。
・ HDR ・・・ ハイダイナミックレンジ合成機能だろうか? だとしたらきついコントラスト下で明暗を中和した撮影ができるっぽいが まだじっくり検証はしていない。
(後日追記:HDR機能はよく効いている。この機能のないカメラと比較すると明確な差が感じられた。ただ、設定自体はオンにしてもオフにしても変わらず、設定無視で常時効いている感じがする)
・・・また、ビデオへの「日付・時刻の透かし挿入」に加えて任意に設定した6文字(英数字のみ)を映像にインポーズ挿入できる「ナンバープレート透かし」機能というのもある。
その他のオプション設定としては
・サイクル録画 ・・・ この手のカメラではもはや定番のいわゆるループ録画 off/1/3/5分
・タイムラプス ・・・ これも定番。off/3/5/10/30/60秒
・モーションセンサー撮影 ・・・ 動態検知で撮影開始する監視カメラ機能
・Gセンサー ・・・ 重力センサー。「なにこれ?」と思ったがドライブレコーダーだと定番の機能で事故の衝撃を感知して録画中のファイルを保護する機能らしい
・・・その他、「車載モード」、「Wi-Fi機能」などもあり。
Wi-Fi機能は当方手持ちのスマホがWindows10mのスマホなのでアプリが対応しておらず検証不能(ただ単純な無線接続までは普通に確認できたので機能はしているもよう)。だがWi-Fi機能は接続や操作が不安定だったり、うまく連携できても電池消耗や本体発熱が増加、さらには録画の処理落ちもまねくらしくどうしてもという必要性がなければ無視していい機能かと思います。
「S2」の画質はきっちり精細に撮れてよいのですが、自転車巡行映像(つまり直に流れる路面を撮影しているようなシチュエーション)について言うと路面が細かくザラついてるようなシーンでの高速移動だと路面のディティールがざわざわとブロックノイズまみれになりやすいという印象を受けました。「Q1」だと同様の状況(同じ解像度、同程度のビットレート)だと露骨なブロックノイズには化けず平坦に凸凹を潰したような映像になるのでこのあたりは機種ごとの映像処理の性格でしょうかね。
たぶん、「4K」仕様の製品に対して多くの人が思うところは「4Kに手を延ばす世代の性能ならばフルHD撮影には余裕があるだろう」といったあたりじゃないかと思うのですが、1080P-60fps撮影において4K名目の「Q1」は似非解像で 1080P仕様の「S2」はネイティブ解像というちょっと奇妙な結果を見ることになりました。こういう例もあるんですね。
■「S2」と「Q2」 後継機種 ~ WiMiUS Q2 ~
この「S2」は2017年現在、早くも廃盤となっている機種である。後継製品として「Q2」という機種に切り替わっており(amazon.comで当初「S2」を販売していたページがそのまま「Q2」に切り替わっているらしい)メーカー公式サイトの製品紹介に「S2」は掲載されていない。ただどうも後継にあたるらしいその「Q2」という機種の仕様表記やレビューを見ていくと先代機種のこの「S2」より大きく劣化しているようだ。
・・・どちらも上限がフルHD仕様のこういうカメラという点では同じなのだが、「Q2」は1080P以下、撮影解像度モードは段階的に 640x480 まである。だが、フレームレートは一律 30fpsのみ。つまり最高で 1920x1080/30fps。解像度を下げても 60fpsモードは存在しない。
・・・そして両者の決定的な差は解像度・フレームレートのモード云々よりも単純に「画質」であろう。「S2」は普通にフルHDらしい精細な映像が撮影できるが、「Q2」はYouTubeなどでサンプル映像を見ると色にじみや輪郭のボケが強く画質が露骨に悪い。
(※ ただしYouTubeにアップロードされた動画は必ず再エンコードされるので元のソース映像より画質は必ず劣化する。特にこういったアクションカメラの場合ビットレートが元の半分以下に再変換されるケースが普通なのでYouTubeでのサンプルはそれを考慮して吟味する必要がある)
「S2」と「Q2」のこの画質の差は内部の撮像モジュールの差ではあろうがとりわけ、動画コーデック方式が大きいと思う。
「S2」は動画形式が 「 H.264+pcm.mov 」 だが、「Q2」は「MotionJPEG+pcm.avi」なのである。この MotionJPEG というコーディング方式はかなり古い動画形式であり全コマが独立したJPEG画像で構成されている。一昔前から画質の悪い粗悪なトイデジカメがだいたいこのコーデックを採用しており、処理が軽いなどの利点があるが こういった低価格のデジタルカメラに使用されているこのコーデックのエンジンは仕様が低レベルでファイルサイズを食う割に色はにじみ、輪郭はボケ気味となりやすく 60fpsに非対応である。
(但し、MotionJPEGのコーダーはあえて画質を落とした設定でそういったカメラに組み込まれている。この品質設定を上げれば画質は当然良くなるのだがそのためには現実的でない大きなビットレートを設定する必要がある。また日本メーカー製などの高級なデジカメ機種に組み込まれているMotionJPEGのコーダーは比較的低レートでも画質はそう悪くなく、60fpsにも対応していたりする)
WiMiUS S2 自転車走行ビデオ撮影からの静止画キャプチャサンプル
(1080P/60fps 自転車巡行撮影からの無加工取り出し。クリックで原寸大画像が開きます)
・・・S2の60fps巡行動画に関しては YouTubeによる動画サンプルはソースに対して大幅に画質が劣化するため掲載はとりやめた。(ブロックノイズがソースの数倍に増加したり、映像破綻が起きたりするのでサンプルとして参考にならないと判断)