今回もまたなつかしめのおもしろデジタル製品ネタ
EXEMODE NEO-DCR7 というラジカセ型DVDプレイヤーのお話です。・・・これもまた癖や難点はあるものの、なんとも面白い系統の製品でした。カセットテープデッキはないのであくまで「ラジカセ "型" 」という呼び方をしていきます。
まずその機能の数々・・・
・DVDプレイヤー(内蔵7インチ液晶でも、外部出力でも観賞できる)
・CD音楽プレイヤー
・MP4動画プレイヤー
・MP3音楽プレイヤー
・写真表示 (JPEG画像のフォトフレームになる)
・AM/FMラジオ (AMステレオは非対応)
・カラオケ機能(マイク入力端子あり)
・スピーカー(外部入力で繋いだ他の機器のスピーカーになる)
こういうものとしては当時 大きめと言っていい7インチ液晶を搭載しており、当時のオーディオ&ビジュアルでできることを一通りライトに詰め込んだ感じのしろものです。まぁその後、ポータブルの液晶付きDVDプレーヤーが機能的にこういう形で(USB/SDスロット実装しマルチメディア再生できる形で)一般化されていきましたが、これはラジカセ型っていうのがなんとも面白いではないですか。
この手のCD / DVDプレイヤーの宿命として光学ドライブの物理的故障・寿命というものがあります。それは買ってからわずか数ヶ月で見舞われるかもしれないし、5年、10年もってくれるかも知れない。ある程度のスキルがあればピックの交換修理で蘇生させることはできますが、大抵の人はディスクを読み込まなくなった時点で故障としてあきらめますね。
・・・しかし、MP3、MP4再生に対応しているプレーヤーはしぶといもので、そちらの方面で使う分にはCD・DVDの使用不能など意に介せず使い続けられます。・・・まぁ、多少はPCのスキルに長けてそういったマルチメディアテータの作成に知識を要しはしますが。
製品上部。電源や再生に関する基本操作系統を除くと「音響バスブースト(オン/オフ)」
「メディアモード切り替え(光学ディスク/USB/SDカード)」くらいしか特別な機能キーはない。本機はリモコン付属だが、リモコンではなぜか電源のオン/オフ、音量調整という結構基本的な操作ができないという不便仕様なので意外とここに手をのばす機会は多い・・・(音量調整はできないがミュートはリモコン操作可能)
本体背面。左から順に、ラジオ用のアンテナ、DVDの外部出力端子(コンポジットのみ)、内蔵液晶モニタのオンオフスイッチ、電源端子、ヘッドホン用ミニジャック。・・・ヘッドホン端子と内蔵モニタのオンオフスイッチをなぜこんなとこに持ってきたのか・・・ すごく使いにくいです・・・
本体前面、モニタ直下に USBスロットと 標準SDカードスロットが並んでいる。USBメモリは 32GBまで認識OK、SDカードはSDHC非対応で 2GBまでの制約。両方とも同時に挿しておいてOKで本体上部のメディアモード切り替えボタンで使用するスロットを切り替えられる。
(写真のSDカードはイジェクトされた状態。インサート時はきちんと収容されます)
■ 動画ファイルの作成方法について
さて、この製品を所有していて困るのは動画フォーマットの仕様でしょう。
MPEG1や MPEG2、そして MPEG4-ASP準拠のビデオファイル(公称ではMPEG4-ISOという一般人にはわかりにくい表記)、要は DivX だとか XviD だとか当時ポピュラーだったと言っていいそのあたりのコーデックのものが使えますが、ちょっと癖がありまして、市販DVDを再生する分にはあまり問題ないのですが、自作のMPEG4ビデオファイルを再生する場合、このモニタのフルサイズできちんと表示させることがなかなかできません。一般的な解像度設定(たとえば 640x360 など)だと大抵おかしな比率で表示されてしまったり、再生自体が不可(真っ黒画面)だったりということが多発します。そこでじっくり検証していった結果、かなり特殊な設定でエンコードする必要があることがわかりました。コーデックごとに解像度とアスペクト比の変則的な組み合わせを行ってエンコードする必要があります。以下は検証で割り出した「16:9比率の映像ソースを本機の内蔵ディスプレイ画面にてフルサイズで表示させられるようにエンコード設定する方法」です。解像度とアスペクト比の組合わせを一致させて変換してください。
【 XviDコーデックで作成する場合 】
・解像度:680x288 / 704x288 / 720x404
アスペクト比 : 4:3
・解像度:640x376
アスペクト比 : 5:4
・解像度:480x234 (NEO-DCR7内蔵モニタ ドット・バイ・ドット)
アスペクト比 : 5:4
・解像度:480x360
アスペクト比 : 11:9
【 DivX 5.x / 6.x コーデックで作成する場合 】
・解像度 カスタムリサイズ 720x480
・解像度 カスタムリサイズ 480x360
入力形式、出力形式ともアスペクト比 「正方画素」
※ 簡単・お手軽に変換できることを売りにしている動画変換ソフトだと解像度・アスペクト比のいずれかまたは両方が任意の数値に設定できない場合があります。
映像表示の設定については上記の通りに作成すれば画面サイズピッタリに作られますが、あとひとつ注意すべき点があります。「ビットレート」です。USB / SDスロットから入力されるビデオデータはある程度以上のビットレートだと露骨な処理落ちが発生してしまうのです。これはUSBメディアの転送速度性能とは関係がなく速いメモリでも例に漏れません。これも検証していった結果、およそ 3.2Mbps程度までを目安にすると処理落ちを完全に回避できることがわかりました。(USBスロットが仮に実際はUSB1.1仕様だったとしても理論値で 12Mbpsの帯域がある為 転送速度の問題とは考え難い)
公式のDivXコーデックだとピークビットレート(最大ビットレート)を完全に抑制する設定方法があるのですが、XviDにはないようです。なので、XviDしか作成方法がない場合、「CBR(固定ビットレート)1パスのみで作成する」「適宜、解像度を落とした組み合わせで作成する」などの工夫が必要となります。

本体サイズに対して7インチ画面はかなり頑張っていてほぼ搭載可能な最大サイズという感じ。
あとはテレビチューナー搭載していればポータブルAVステーションとして完全体だったが、当時は地デジへの移行がアナウンスされていた微妙な時期だったのでそこはやむなしか。(アナログ波チューナーには将来性がなくなり、地デジチューナーはまだ高価という実に微妙な時期)